
【クリア感想】未解決事件は終わらせないといけないから【心に残る短編小説のようなゲーム】
目次
はじめに
嘘をついたことがない人は、おそらくいないと思います。いや、もしかしたら、これまでの人生で一度も嘘をついたことがないという聖人君子の方もいらっしゃるかもしれませんが……たぶん人類の99%くらいは、人生のうちで少なくとも一度は嘘をついたことがあるはずです。
その、今までについた嘘を振り返ってみてほしい。あなたはどんな嘘をつきましたか?
嘘にはいろいろあります。嘘自体を悪いものだと一蹴することは容易いですが、嘘にはさまざまな種類があるので、一概に悪いものと言い切ることもできません。相手を騙すための嘘があれば、相手を思いやるための嘘もあります。
なぜ、嘘をついたのか。なぜ、嘘をつかなければならなかったのか。
「未解決事件は終わらせないといけないから」をクリアした時、出来の良い短編小説を読み終わった後のような気持ちになりました。
面白かった、と端的に表現するのはちょっと違うし……良い小説を読み終わった後って、「あー面白かった!」よりも「はぁ……」というため息が先に出るんですよね。読んでいる最中ずっと止まったままだった息を、ようやく吐くことができたような、そんな吐息が。
はっきりと言えるのは、心の中に確かに残るものがあったということ。そして、その「心に残ったもの」を言葉に表現するのが、すごく難しい。
喜び? 驚き? 感嘆? どれも違います。表現するならば、感傷という言葉がこの気持ちに最も近いかもしれません。
とにかく、プレイして欲しい。プレイしてもらえれば、この気持ちが分かっていただけるのではないかと……
お値段もお安く、2〜3時間程度でさっくりクリアできるので、ぜひ購入を検討してみてください。
ネタバレを含まないように気をつけつつ、感想を述べます。
ゲーム概要
本作の概要は以下のとおりです。SteamとNintendo Switchで発売中。
「この事件、初めて接したときにすごく驚いた覚えがあります。誰もがそれぞれの理由で嘘をついてました。」
2012年2月5日、公園で遊んでいた少女・犀華が行方不明になったという通報があった。
警察は聞き込みと捜索を繰り返すが、事件は解決せずに未解決事件の書類ファイルに眠る。
清崎蒼警部の退職から12年後、ある日訪ねてきた若い警官。彼女は「犀華ちゃん行方不明事件」を終わらせるよう協力を要請してきた。清崎はバラバラになった記憶のかけらを思い出して再構成するが、明らかとなったのは犀華の周りの全員が嘘つきだったということだけ。
Steamストアより引用
謎解きゲーやミステリー作品を見てが好きな方であれば、きっとどこか心が惹かれる部分があると思います。未解決事件、そして、誰もが嘘をついているという、真実への探究心がくすぐられるワード。
かくいう私も、未解決事件というワードにほいほい釣られて購入しました。お値段もかなりお手頃ですし。
しかし、犀華(せいか)ってなかなか読みにくいですよね。金木犀の犀なんだけど、人名にはあまり使われない印象があるので、初めてこの名前を目にした時は結構びっくりしました。
元々は韓国語で書かれたシナリオであるため、日本語に翻訳する際に少し文章が固くなってしまっているかな? と感じる箇所が少しありました。
ただ、すごく気になるわけでもないですし、この翻訳特有の固さが、シナリオの雰囲気とマッチしていて良かったです。純文学小説のような趣を感じます。
謎解き要素(パズル)

画像はsteamストアより引用
謎解き要素は至ってシンプル。主に以下の3点を行います。
- 誰の証言か推理する
- 証言を時系列順に並べる
- 証言から新たな証言を思い出す
捜査パートなどがあるわけではありません。過去に未解決事件となったとある事件についての証言を思い出しながら、その証言を元に真相に迫っていくゲームです。
証言ひとつひとつにはスチルが付随しているので、それを元に推理してみたり。質問者(警官)のセリフから証言の発言者を推理してみたり……
難しくて詰まってしまっても、最悪総当たりできますので、クリアできずに詰んでしまうことはないはずです(おそらく)。
証言は時系列順に並べ替えた時、その順番と、推理していた発言者の両方が合っていたら証言同士が繋がり、日付と時刻が記載されます。並べ替えたらすぐに繋がってくれるのが、かなりありがたかったです。
この情報を元に新たに推理する部分もあるので、どしどし並べ替えてました。あと単純に、証言同士が繋がった時の演出が気持ちよくて楽しい。

画像はsteamストアより引用
証言の内容から推理することももちろん重要ですが、当たり前のようにミスリードが含まれています。でも、メタ読みで推理などはしなくても良いかな。本作はミスリードに真っ直ぐ引っかかってこそ、味わいが深まると思うので。
自分が全くの思い違いをしていたと気づいたあの瞬間、「なんてすごいゲームなんだ」と心の底から感じたのをよく覚えています。
いや、まさかこの証言、この人の発言じゃないよね?
→やっぱそうなんだ……(頭を抱える)
この流れ、本作あるあるだと思います。
誰もが嘘をついている

本作では、登場人物の全員が嘘をついています。
重要なのは、「なんの嘘をついたのか(What)」ではなく、「なぜ嘘をついたのか(Why)」ということ。
この「なぜ」という部分の真実を知った時、私は心臓が直接鷲掴みにされたような、苦しさを感じました。
ただただ、辛かった。
ただただ、苦しかった。
真実が明らかになればなるほど、真相に近づけば近づくほど、「待ってくれよ」と言いたくなる。彼/彼女らの心の柔らかい部分を土足で踏み荒らしているような気分になるからです。まるで自分が、悪人になったかのような心地で……
でも、それでも我々ユーザーは、真実を明らかにしなければならないのです。
未解決事件は、終わらせないといけないから。
さいごに
最後に、プレイ開始直後に私の心をギュッと掴んできた、本作の冒頭シーンのテキストを一部抜粋し、掲載させていただきます。
私はクラゲです。
振り返ってみると、波に揺られて方向も定まらないまま、70年余りの歳月を漂っただけ……
出会った人みんなに、むやみに毒の針を刺してばかりでした。
見えますか? 私が抱きしめようとした人たちに、傷だけが残って……
私のいる場所には、廃墟しかありません。
私は、この世に浮かぶ一匹のクラゲにすぎないのです。
『未解決事件は終わらせないといけないから』冒頭シーンより抜粋
このテキストを読んで「気になるな」と感じた方には、強く本作をオススメします。
では、ここまで読んでいただきありがとうございました。とても良いゲームでした。
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